九一式高射装置

日本海軍初の本格的実用高射装置であり、昭和9年頃より戦艦、空母、重巡などに搭載を開始した。

方位盤と射撃盤を一体として台座上に設置し、光学測距儀が隣接する形式となる。
照準眼鏡と測距儀との連接機構を欠き、目標の指示捕捉に苦労したという。

測距儀は諸説あるが、武式4.5m高角測距儀に距離発信器を追加したものであったようだ。

これはステレオ式ではないが、武式(単眼合焦式)のうちでは対空測距に有利とされた帯分像合致式。
単眼合焦ということもあり、もとより視野が明るいとは言えない武式。
そこからさらに光像を切り刻むため、特に悪天候時や夕暮れ以降などの対水上用としては、視野が暗くなる弱点があった。

射撃盤(計算装置)は、目標との直線距離を基準とする方式。
これは各測定毎に目標の正確な三次元位置を求めるもので、計算式が複雑化する難点があるものの、上昇あるいは降下する目標にも対応可能だ。

九一式では、内蔵された28個の計算機構が逐次、あるいは連続に、計算結果(角度や回転、送り量など)を送出しながら解析する。
内蔵計算機同士の連絡のためなど、比較的多くの操作人員、操作手順を必要とした。

能力評価は余り聞こえてこないが、運用性がよろしくなく、次項のMark33指揮装置と同程度であったと思われる。
また計算時間についても、次項のMark10射撃盤と同程度だと思われる。



Mark33 Gun Director

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