二重巻きのレイテ沖


フィリピン諸島沖を艦隊で埋め尽くした米軍は、より熾烈となった日本軍の航空攻撃に直面した。

マリアナ沖において上方向からの攻撃に弱いことが明らかとなったV陣形。
しかし「日本軍の恐るべき雷撃」をほぼ完璧に防御したことは、一つの自信となった。

雷撃、降下爆撃そして、あまりにも衝撃的な体当たり攻撃。
それら全てに対抗するべく、輪形陣を伸ばしたり縮めたり組みなおしたり、米海軍の模索は続いた。

しかし、それとても米海軍によれば「空母を守る艦艇が足りない!」が、悩みのタネだったとか。
なんとも贅沢な悩みである。

護衛艦艇が足りないなら、空母を 減らせばいいじゃない!

'44レイテ沖海戦 空母機動部隊対空戦闘 C4陣形
中心に空母。
半径2,000yd(約1,800m)の内周に空母、軽空母、巡洋艦など4隻。
半径4,000yd(約3,600m)の外周に巡洋艦、駆逐艦など16隻程度。
ややタイトな二重巻き輪形陣のイメージである。

上からの攻撃(急降下爆撃など)に対抗する試みはしかし、天井の高さ(有効射高)は変わらない、という事実によって阻害されるだろう。

内周半径をある程度まで密集させることで、対空砲火の密度を上げる・・・天井を硬くする、くらいの対策だろうか?
とはいえ、この時期の「空母3~2、軽空母1~2、その他多数」という概略編成は必然的に、内周に軽空母を含むことになる。
米の軽空母は高角砲装備がなく、否応も無く天井密度が低下する領域が発生してしまう。

また外周艦にも支障がある。
本図によると、艦爆の突入コースとは反対側になる外周艦の高角砲は、中心の空母上空を低空域のみをカバーできる勘定だ。
彗星の急降下爆撃に対しては一門あたり楽観的希望で7射と述べてきたが、この場合は時空間的に1~2射が限度かと思われる。
外周艦の火力発揮は意外と制約が多いのではないか。

ここでの彗星撃墜確率はいかなるものか。
まず中心の空母は、火力発揮100%として約0.2。
内周艦4隻は、平均80%として0.16x4隻=0.6余り
外周艦のうち、進入コース直下の左右45度以内にある4隻を80%発揮とすれば、0.16x4隻=0.6余り

全てを単純合計すると約1.4余り。
およそ必ず墜とされる。

恐るべし!


三重巻きの沖縄戦

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